■ヨコオタロウ氏
ヨコオタロウ氏はスクウェア・エニックス発売の『DOD』シリーズや『ニーア』シリーズのディレクターとして知られています。ディレクションのみならず、シナリオも担当。表に出る時は『ニーア』シリーズのエミールというキャラクターのマスクを被ることが多い。ちなみに誕生日は6月6日(仏滅)だそうです。
ヨコオ・タロウ氏が講義で使用した”シナリオ”の作り方を、スクエニに教えてあげて・・・
ヨコオ・タロウ氏公式ツイッターより
プラチナさんでやった講義の図がわかりづらい、と言われたので喋ってたことを書いてみました。ゲームでプレイヤーの闘争心を高める参考例ですが、現実世界で国民を戦争に駆り立てる用途にも使えますので政治家の皆様もご活用ください。
参考:
https://t.co/ZdfIgz0WVR pic.twitter.com/wV76ZMmeDu— yokotaro (@yokotaro) 2017年7月21日
ヨコオ氏が語る”プレイヤーの闘争心を高める参考例”
ヨコオ氏のツイッターを元に”プレイヤーの闘争心を高める参考例”をまとめてみます。
■ゲームの題材
講義では”敵から村を守る”という、よくある防衛戦を題材としています。
■まず感情のコアを決める
”敵から村を守る”というゲームの場合、ゲーム内容としては敵を倒す、殺すという内容になります。なので感情のコアは”殺す”という感情となるので中央に配置しています。
■プレイヤーは簡単に”殺す”という感情を持たない
プレイヤーに”殺す”という感情を持ってもらうためには、ただ敵を配置するだけでは”殺す”という感情は持ってもらえない。
■肉付け(動機付け)が必要
”殺す”という感情をプレイヤーに持ってもらうには、
- 敵はイヤな奴
- 強大な敵
- プレイヤーは他者・弱者の為に戦う
- 絶望的な敵の増援
などが必要。良い奴が敵だと”殺す”という感情は起きないし、弱い敵を倒しても弱いものいじめにしか見えない。村人に病人がいたり逃げられない理由があれば、プレイヤーは敵を倒す以外に選択肢はないと考えて、”殺す”という感情が芽生えます。
敵も最初はそれ程強くしないでプレイヤーに勝たせ、その後にプレイヤーが挫折するような強大な敵の力を見せ絶望に叩き落す。そのタイミングで、村を助けたとしても何のメリットもないNPCが救援に現れて、プレイヤーを奮起させる。
そして感情のコアである”殺す”という感情を増幅させ、プレイヤーの闘争心を高める、ということをヨコオ氏が語っています。
スクエニ『FF15』を考える
■『FF15』は動機付けが出来ていたのか?
『FF15』でコアにあるべき感情は、”殺す”であるべきだと思いますが、そもそもこの部分が非常に弱い。『FF15』において”殺す”の感情を抱くべき相手は、主人公ノクトの父親を殺害し国を奪った相手ですが、これが”誰”であるのか主人公達は知りません。もちろんプレーヤーも。
映画を見た方は分かるのかも知れませんが見ていない人にはまったく分かりません。さらに云うと主人公ノクトが過ごした王都での描写もほとんどゲーム内では語られないため、国を奪われても思い出も何もないので、”殺す”という感情がおきません。”へぇ~”ぐらいで終わりです。
これはヒロインであるルナフレーナについても同じです。ルナフレーナはアーデンによりノクトの前で殺害されますが、アーデンがルナフレーナを殺害した理由が不明。その場でなんとなく殺したように思えます。ノクトとルナフレーナも再会後、ほぼ会話もないので、ルナフレーナが唐突に殺害されても、”えっ ここで死ぬの?”という感情くらいしか出てきませんでした。
まだまだ色々あるのですが、『FF15』はメインストーリーにおいてプレイヤーに最後まで帝国や”アーデン”と戦う動機付けが出来ていなかった、といった感想です。
シナリオ:『ニーア』≧『FF』
同じスクエニ開発の2作ですが、シナリオにおいてはもう『ニーアオートマタ』≧『FF15』ですよね。『FF15』も当初の野島氏のシナリオであれば良かったのかもしれませんが・・・。
もう『FF16』はヨコオ・タロウ氏がディレクターで良いのではないでしょうか。一番は坂口氏が担当することかなぁ。(願望)