協働ロボット導入に積極的?工場生産を助ける強い味方ついてわかりやすく解説

日本が誇る技術に「ロボット開発」が挙げられます。テクノロジー大国として世界的にもトップレベルを維持する日本!もちろん、アイコンとしての「ロボット」への情熱を忘れたことはないでしょう。

 

ところで、生産工場で見かけることのある協働ロボットについて考えたことはありますか?協働ロボットの存在価値は年々高まっており、それと同時に需要も一気に伸びています。今回は協働ロボットに密着します。安定した工場生産を実施できる強い味方「協働ロボット」についてわかりやすく紹介しましょう。

協働ロボットとは?どんなことができるの?

まず、協働ロボットとは何なのか?どんなことができるのかについてご紹介します。

 

協働ロボットは人と並んで仕事をするプログラミング型ロボット

協働ロボットは英語で「Cooperative Robot」と呼ばれ、海外では「コボット」の愛称で知られています。簡単に言うと協働とボットは人と一緒に作業をするロボットのことで、プログラミングによって一定の作業を行ってくれるのが特徴です。主に工場の生産ラインや作業場の一角に設置され、単純な作業のみならず複数作業を設定された時間幅で作業します。

 

工場のラインに他のスタッフと並んで仕事をこなすこともできます。協働ロボットはプログラムされたタスクを的確に行い、次の行程へとつなげる橋渡し役だとも言えます。その動きはカーボンで出来たものとは思えないスムーズな動きを見せ、柔軟な手作業を華麗にこなしてくれます。多くは車体生産工場や産業機器を制作する作業場などで導入されていますが、人手の足りない中小企業や町工場といったシーンでも小型の「コボット」は大活躍しています。これも、作業の自動化を実現してくれる協働ロボットの存在があればこそです。

 

アーム型の協働ロボットが人気

また、協働ロボットはボディの大きなロボットのイメージとはちょっと異なります。むしろ、ボディはコンパクトで小さめで土台にしっかりと固定されており、そこから腕のようなものが直接出て左右上下に動きます。絶妙なハンドワークに近い柔軟な動きで、求められる作業を確実にこなしていきます。

 

ここで、以前の産業ロボットについて触れてみましょう。2013年以前は協働ロボットという名称は存在せず「産業ロボット」という立ち位置で大型生産工場に導入されていました。この頃、作業員の安全を確保するために安全柵と呼ばれるフェンスのような囲いを配置し、特定のスタッフのみだけが入れるという環境でした。危険エリアを設け、この領域に入る際は不慮の事故やロボットの作業の妨げにならないように、十分注意をする必要があったのです。現在ではこの柵を置く必要もなくなり、ISO規格に準じた安全性やスピード、作業間隔や力の度合いを守って使用すれば問題ありません。

 

現代の協働ロボットは小型のものが主流です。前述しましたように腕の部分とハンド部分が繊細に動くようにできているため、実に細かなとこまで手が届きます。現代の協働ロボットの技術ははるかに想像を超えるもので、その効率の良さと正確度に企業は目が離せない状態です。もはや「ロボットと働くのは危険」といった認識は存在しません。

 

協働ロボットが活躍する場所は増えている

協働ロボットは一般的に工場生産の一工程を賄うために導入されることが多いですが、実際にどのような場面で使われるのか、ピンとこない方もいるでしょう。以前の大型産業ロボットは車体工場といった組み立て作業で多く使われていましたが、協働ロボットの用途はさまざまな分野に広がっています。

 

たとえば、軽量の小型アームロボットの使用例では「ラベルの自動貼り付け」があります。発送用の段ボールに宛先ラベルを張ったり、製品に直接ロットナンバーを張り付けたり、以前は人の手によって行われていた作業を協働ロボットが担当します。

 

その他、商品の積み込み作業なども協働ロボットを使って行うことができます。工場で完成した製品をトラックやコンテナに積み込むことも可能です。プログラムの内容によっては流れ作業の多い部品工場でのパッキング作業に協働ロボットを導入する例もあります。

協働ロボットを導入する上でのメリットは?

多くの中小企業が協働ロボット導入を前向きに考えています。その理由とは何でしょうか?軸となるメリットを3つ挙げてみましょう。

 

人件費を抑えることができる

協働ロボットを導入すれば「人件費の削減」につながります。作業員を雇う際は労働基準法に基づいて働く時間帯や環境、総合作業時間などが厳しく定められています。また、工場内での仕事はタフで身体のエネルギーを奪うこともあるでしょう。流れ作業を続ける上でストレスや疲労などが貯まることもあります。しかし、協働ロボットには「疲れ」を感じるということがありません。

 

加えて、労働時間についての法律も存在しません。つまり、作業場の状況によっては常に協働ロボットを使って作業を進めることもできるわけです。24時間休みなしで一人の作業員に仕事を任せることができるでしょうか?無理ですよね。

 

生産量と品質を均一に保てる

次に「生産量と品質の安定化」が挙げられます。協働ロボットはプログラミングによって動作するロボットです。つまり、一度作業工程を入力すればそれをほぼ確実にこなしてくれます。体調が悪くなったり、何らかの事情で早退することもないわけです。そのため、生産の妨げとなるネガティブな項目が排除されます。

 

加えて、協働ロボットは同じ作業を継続して行ってくれるため、製品の出来にバラつきや癖なども発生しにくいです。たとえば、作業員が新人で熟練度が低い場合は品質にも影響する可能性もでてきますよね。品質の均一化において協働ロボットを超えるものはないでしょう。

 

タスクの効率化に貢献できる

これは前述の生産量と品質の均一化に関係する項目ですが、協働ロボットは「人」ではないため、うっかりミスや作業行程を飛ばすといった感覚的な過ちがほとんど見られません。つまり、協働ロボットを導入することでロスを減らし、より高い効率化に貢献できるということになります。

 

単純な作業を「人」が続けていくにはトレーニングや経験、また根気なども必要になってきますが、協働ロボットの場合はそういった経験値とは無縁だと言えます。たとえ、作業が初めてでも正確にプログラミングを実施していれば、その通りの動作を繰り返し行ってくれるからです。ミスやロスがないため、効率的にも有利な投資アイテムとなるでしょう。

協働ロボットの完全無人化は可能なのか?

協働ロボットの導入によって得られるメリットはたくさんありますが、協働ロボットのみを採用した「完全無人化」は現在の段階では難しいと言えるでしょう。そもそも協働ロボットは人と一緒に作業をサポートする目的で開発・製作されたものです。ロボットが持つ特性と人が持つ特性を上手く掛け合わせることによって、最高のパフォーマンスを生み出すことが協働ロボット導入でのゴールです。

 

また、現代の協働ロボットはプログラミングや操作が比較的容易になりつつありますが、それでも特定のオペレーターが必要になることがあります。定期的なメンテナンスや調整などを含め、やはり最終的には人によって仕上げるのは不可欠になります。そのため、協働ロボットの完全無人化はまだまだ先になると考えられます。

まとめ

協働ロボットは人員補充や効果的な作業の実現、生産量や品質の安定化などに貢献してくれる強い味方です。大型工場から中小企業、地域の作業場まで幅広いエリアで積極的に導入されています。作業の自動化を図るなら安全な「協働ロボット」を検討する価値は大いにあるでしょう。